私的ゲームレビュー(ネタバレあったり)

□METAL SAGA〜砂塵の鎖〜
ハード:PS2
発売元:サクセス
希望小売価格:6980円

 ◇やはり「竜退治はもう飽きた!」のCMが印象に残ってる戦車で冒険する伝説的RPGであるMETALMAX(以下MM)の続編が10年以上の時を経て復活した。
 メタルマックスといえば、今までのRPGとは違い、戦車で戦う事を含め、さまざまな掟破り(当時は、かもしれないが)のキャラクターがたくさん出てきていたゲームだった。
とはいえ、リアルタイムにできたわけではなく(ファミコン買ってもらえなかった)のもあり、やったのはスーパーファミコン版のMM2とMMリターンズであったが、その世界をずいぶんと堪能させてもらった。

 ◇続編が望まれたMMだったが、さまざまな大人の事情(版権とか、開発元倒産したとか)で10年の時を経てシリーズ復活、まず、その復活に尽力した方たちには素直に賞賛を送りたい。

   


◇さて本編は、ストーリーの有無に関しては、現在出ているRPGのようなこうしなければいけない、というストーリーが無いのが、過去のシリーズと変わらずにあるから安心。
開始30秒で見られるエンディング(エンディングの一つの形)、戦車を取らずに肉体だけでも進んでいくことができるなど、過去の伝統を正当に受け継いだともいえる。
イベント総数800と書かれてはいるが、その濃さには当然の事ながら差があるが、おおむねハズしてしまっているイベントは少なくなかったと思う。
メインラインと思われるストーリーはあるが、そんなもの無視しても全然問題無く、進められるのが今作でも引き継がれている伝統ではあるのだが、イベントの構成がちぐはぐに思える、なんていうか発生タイミングが強制の部分が多かったり、コケるとかなりのディスアドバンテージが生じるものがあったりするので、以前のシリーズにあった、なんとかなるさ的な気楽さがやや現象したかも。
  


◇やっぱり戦車!!戦車!!
MMシリーズの一番の特徴とすれば、戦車を改造して強くなるというところ、最初の戦車がバギーというにくい演出、過去のMMシリーズを思い出した一瞬でした。
使用できる戦車の数は過去のシリーズより増えて19種類(バトー戦車が4台だけど使えるのは1台だから1プレイで同時に19台全部使えるってわけではないのが気になった。
種類のチョイスに関しては妥当といえば妥当というか趣味によるところがかなり出るので自分の視点としてはそれなりに問題はなかったかな。
ただ、MMリターンズ(以下MMR)などで、手に入れたときにはボロボロであるという演出はなく、取り出した瞬間から走ることができるという演出は”力尽きてボロボロになり埋まってしまった戦車”を再生するというカタルシスがなくなっちゃったのでそこが残念だった。
  


◇戦車の改造


  


 楽しみの一つであった、戦車の改造だが。とても単純化されすぎて、最強装備が決まってしまっており。それを改造するしかないという切ない設計。
さらに、守備力を上げたとしても、全く意味が無いといわざるを得ない結果にしかならないので、前作で、どの守備力の位置で妥協するかなどの頭を使う部分がなくなり、また改造の楽しみがなくなってしまった。また、いくら改造しようともパーツ破壊が簡単に起こってしまうので、改造する意味がゼロに近いという天をあおいだ気分になった。


  


◇合成
 ぽろぽろと合成アイテムが取れるのはいいのだが、取れすぎてトランクルームがすぐに満タンになるのと、トランクルームが200個しか預けられないことと、さらには、鑑定するNPCの位置が遠い、ノーマスからレアパーツまで完全に確率でしか出ない、極めつけはそれほどいいアイテムが出ない、などという、ぶっちゃけ未完成システムで面白さが無くなってしまった悲しいシステムだった。レアアイテムくらい、拾わせてくれ…。エンジンも作らせてくれ…。個人的には不満があるシステムになってしまった。 
  


◇ゲームバランス
 東部、西部と大きく2つのエリアに分かれているのが当初から言われてはいたが、西部の最初の街に行ってしまうと、装備が強くなり。東部に戻った場合、敵無しになってしまい、その時点でバランスが崩壊するのがなんともいえない気分になった。
 ひるがえって、西部に行かずに東部のストーリーラインをなぞる場合、ちょうどいいゲームバランスで進められるという事が後になって分かった。
 結局のところ、過去MMシリーズでは、無理して先の街に行く→引き返して歯が立たなかった賞金首を倒す、というカタルシスはあるにはあるのだが、装備品に関してのバランスがとても悪い、きっぱりと悪いので。強さを実感し、すこしすると空しさをおぼえてしまう事もあったりした。
 戦闘でのダメージ計算式や、イニシアティブ計算式などの未熟さが目立ってしまい、そういった部分は完全に前作の踏襲でもよかったのではないかと思った。
 特に、戦車のパラメータではすばやさをどう稼ぐかというと、装甲タイル(HPみたいなもの)を0に近づければOKという乱雑な計算が幅をきかせており、いかにすばやく砲弾を撃ち込むか、撃ち込めなかったら苦戦という単純なかけひきの全く無い頭の悪い戦闘になってしまうのが残念。
 公式のスタッフルームのスタッフ発言が自画自賛か、それとも違ったのかをここで知る事ができた。
 東部までに限ったらバランスは優秀、それ以降は凡作となってしまうのがなんとも…

◇キャラクター
 別に全然問題なく、キャラが多かったけど気にならなかった。この方向でいいんじゃないかなぁ。まぁ、キャラの多さを制御できなくて各イベントが竜頭蛇尾になってしまった感があったのがなんとも。


  


◇総評:前作までのノスタルジーは終わった、次はどうなる?
 戦車も出した、ドクターミンチも出した。別ゲーの内輪ネタも出した、ポチも出た。
ここまでは、MMシリーズを懐かしむプレイヤーにはたまらなかったものだろう。その部分をできるだけ再現しようとしてくれた製作チームの努力は評価できるし、嬉しかった。
 だが、この未完成感をプレイヤーが許すのは、この作品だけだという事を開発会社は忘れてはならない、ビル内部のつくりの甘さ、バランスの崩壊、シナリオの未完成など、通常リリースされているゲームであったら総スカンを食らっていてもおかしくは無い出来の部分がプレイを終えた後に見えてくると、このシリーズを出すとしたら次回作を作る場合はきちんとした作りでは無ければ、今作のようなセールスを記録することはできないだろう。
 総評として「ノスタルジー喚起力は良作、新作としては凡作」という評を記し、筆をおこうと思う。
 それでも、次を楽しみにしている自分が居るのだが。


 

[ゆめも]